・原則法(個別法)と簡便法って何?
・簡便法の計算ってどうすんの?
所得税額控除
法人の受取利息や受取配当金に対して、所得税法の規定(所法174)により所得税が源泉徴収されます。
また、受取利息や受取配当金はPLの営業外収益に計上されるので、法人の所得金額を構成し法人税が課税されることなります。
法人が納付した所得税額は、所得税と法人税が二重に課税されることになります。
そこで源泉徴収された所得税を法人税の前払いの性格として所得税と法人税の二重課税を排除するために所得税額を法人税額から控除することにしています。
この税額控除制度を「所得税額控除」といいます。
【税務調整(別表四・仮計の下)】
法人税額から控除される所得税額 ×××円(加算)
【税務調整(別表一)】
控除所得税額 ×××円
税額控除される金額の計算
種類と按分計算の要否
【按分計算不要】
・預金利子
・社債利子
・公社債投資信託の収益の分配
・公募公社債等運用投資信託の収益の分配
・みなし配当
【按分計算不要】
1.株式・出資
・確定配当
・中間配当
・基金利息
・剰余金の分配
2.受益権
・特定株式投資信託の収益の分配
・特定外貨建等証券投資信託の収益の分配
・外貨建等証券投資信託の収益の分配
・上記以外の投資信託の収益の分配
株式・出資と受益権の按分計算
その計算には原則法(個別法)と簡便法の選択適用ができます。
原則法(個別法)
所得税額×元本の所有期間の月数(端数切上)÷計算期間の月数(小数点3位未満切上)
簡便法
所得税額×計算期間開始時の元本数(b)+((a)-(b))×1/2÷計算期間末日元本数(a)(小数点3位未満切上)
[設例]
当社の決算期は令和×2年4月1日から令和×3年3月31日であるが、所有するA社株式の配当金8,000千円(うち源泉所得税1,600千円)を受け取った。
A社の決算期は令和×1年10月1日から令和×2年9月30日であり、発行済株式総数は5,000株である。
また、A社株式の取得状況は次のとおりである。
なお、負債利子はないものとする。
令和×2年4月1日 所有株式数 100株
令和×2年9月15日 60株取得
令和×2年10月10日 40株取得
令和×2年11月20日 80株譲渡
1、原則法(個別法)による計算
1,600千円×100株/160株+1,600千円×60株/160株×1月/12月(0.084)=1,050,400円
2、簡便法による計算
100株+(160株-100株)×1/2÷160株=0.813(小数点3位未満切上)
1,600千円×0.813=1,300,800円
3、税額控除額 1,050,400円<1,300,800円 ∴1,300,800円
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