【管理会計】連産品、副産物

管理会計

連結原価按分の問題点

連結原価の按分計算は、生産量基準、正常市価基準などがありますが、どのような方法を採用したとしても正確な計算は不可能だといわれますが、これは何故ですか?

連産品は、石油精製業におけるガソリン、灯油、重油、軽油など用途の異なった製品を必然的に生産するケースであり、自然の属性として投入原料から一定の比率をもって分離されるため、各製品の生産量比率を経営管理者の意思によって自由に決定することはできません。

したがって
各連産品を生産するために投入される原料や作業時間を連産品ごとに区別して測定することは不可能である以上、連結原価は各連産品にどれだけの原価がかかっているのかを測定しえない状態で発生します。その結果、連結原価の正確な按分計算は不可能であり、各連産品の真の原価を知ることはできないといわれています。

連産品=必然的に結合して生産される

原料や作業時間を、各連産品ごとに区別して測定するのは不可能

どのような方法を採用したとしても、正確に連結原価を按分することは不可能

等級別 対 連産品(両者の選択)

等級別総合原価計算を行うべきか、連産品として原価計算を行うべきかの決定に関する判断を行う上で特に留意すべき事項

原価計算方法の決定に関する判断を行う上で特に留意すべき事項は、生産される製品の性質です。

すなわち、
生産割合(プロダクト・ミックス)を自由に変更することが可能な製品については、その投入・算出関係が明らかですし価値移転的原価計算が可能である以上、享益主義、原価発生原因主義に基づく等級別総合原価計算を行うべきです。

しかし、
生産割合を自由に変更することができず、必然的に統合して異種製品が生産されるような場合には、その投入・算出関係が明らかで価値回収的原価計算によらざるをえない以上、負担能力主義に基づく連産品の原価計算を行うこととなります。

プロダクト・ミックスの変更可能 ⇒ 価値移転的原価計算できる ⇒ 享益主義、原価発生主義に基づく、等級別の計算

プロダクト・ミックスの変更不可能 ⇒ 価値回収的原価計算によらざるをえない ⇒ 負担能力主義に基づく、連産品の計算

等級別 対 連産品(等価係数の視点)

等級別総合原価計算に用いられる等価係数と、連結原価の按分計算との違い

等級別総合原価計算は、享益主義、原価発生原因主義による計算方法である。すなわち、等級別総合原価計算では、組別総合原価計算を適用すれば正確な計算が可能であるが、それよりも計算の簡便性・経済性を重視する場合に、製品別の原価の発生割合を適切に表現する等価係数を用いて計算を行うこととなります。

連結原価を物量法で按分する方法の利点と欠点

連結原価を物量法で按分する場合の利点及び欠点

利点
連結原価を各連産品の生産量で按分すればたりるため、計算が簡便です。

欠点
(1)販売価格の異なる各連産品の単位原価が等しく計算されるため、セールス・ミックスの変更(どちらの製品が多く売れるか)よって毎期の利益が変動してしまい、経営者の利益平準化思考に反します。

(2)会計において一般に認められる棚卸資産価額(製品の経済的価値)を表さなくなってしまいます。

連結原価を市価法(狭義)で按分する方法の利点と欠点

連結原価を市価法(狭義)で按分する場合の利点及び欠点

利点
追加加工を行わない限り各連産品の売上総利益率が一致するため、セールス・ミックスの変更(どちらの製品が多く売れるか)によっても毎期の利益が変動せず、経営者の利益平準化思考に合致します。

欠点
(1)追加加工を行わない限り各連産品の売上総利益率が一致します。これはある意味利点とも考えられますが、このような計算だと各連産品の収益性が明らかとなりません。

(2)原価に一定のマークアップ率と上乗せして売価を決定していると考えるならば、原価の算定資料に売価を用いる正常市価基準は、循環法(原価が先か売価が先か)に陥ってしまいます。

連結原価をNRV法で按分する方法の利点と欠点

利点
分利点においていずれかの連産品に市価が依存しない場合には、連結原価を市価法で按分することができないため、正味実現可能価額を市価とみなすのが合理的です。

欠点
追加加工において各連産品の個別加工費が生じることによって、各連産品の売上総利益率が一致しなくなります。

連結原価を修正NRV法で按分する方法の利点と欠点

利点
追加加工において各連産品の個別加工費が生じたとしても正常追加加工費と実際追加加工費が異ならない限り、各連産品の売上総利益が一致するため、セールス・ミックスの変更(どちらの製品が多く売れるか)によって毎期の利益が変動せず、経営者の利益平準化思考に合致する。

欠点
(1)正常追加加工費と実際追加加工費が異なれば、結局、各連産品の売上総利益率が一致しなくなります。

(2)追加加工を行っても各連産品の売上総利益率が一致します。これはある意味利点とも考えられますが、このような計算だと各連産品の収益性が明らかとなりません

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