受取配当等は収益に計上しますが、法人税の計算では、ある%を益金不算入とすることができます。
それは二重課税を防止するためです。ただし、企業が株式を保有する理由はいろいろあります。
支配を理由に株式取得する場合は二重課税の問題がありますが、利殖が理由の場合はそこまで
二重課税は問題になりません。そこで次のように決められています。
受取配当等の範囲
益金不算入の対象となる配当等の額は、剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託及び投資法人に関する法律第137条の金銭の分配
又は資産の流動化に関する法律第115条第1項(中間配当)に規定する金銭の分配の額の合計額である(法23①)。
益金不算入の対象となるもの | 益金不算入の対象とならないもの |
---|---|
・確定配当金 | ・外国法人から受けた配当金 |
・中間配当金 | ・公益法人・人格のない社団等から受けた配当金 |
・共同組合等の出資分量配当金 | ・相互保険会社の基金利息 |
・特定株式投資信託に係る収益分配金 | ・保険会社の契約者配当金 |
・名義株の配当金 | ・協同組合等の事業分量配当金 |
・みなし配当金 | ・特定目的会社(SPC)からの配当金 (一定の要件を満たした場合) |
・自己株式 | ・公社債及び預貯金の利子 |
・証券投資信託の収益分配金 (特定株式投資信託を除く) |
|
・外国投資信託の収益分配金 | |
・名義書換失念株の配当金 | |
・短期所有株式等の配当 |
【解き方】
- 受取配当金 or Not受取配当金
- 株式所有割合⇒保有期間
- 益金不算入の額の計算
受取配当等の益金不算入額
内国法人から受け取る配当等のうち次の金額は益金算入しません(法23①④)
- 完全子法人株式等につき受ける配当等の額
- 関連法人株式等につき受ける配当等の額(負債利子を控除します)
- 完全子法人株式等、関連法人株式等、非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等につき受ける配当等の額の50%
- 非支配目的等につき受ける配当等の額の20%
分類 | 株式所有割合 | 継続保有要件 | 負債利子 | 不算入割合 |
---|---|---|---|---|
完全子法人株式等 | 100% | 計算期間継続 | ー | 100% |
関連法人株式等 | 3分の1超 | 6カ月以上 | 控除する | 100% |
その他の株式等 | 5%超3分の1以下 | 他に該当しない(5%超1/3以下等) | ー | 50% |
非支配目的株式等 | 5%以下 | ー | ー | 20% |
※源泉徴収税額控除前の金額が益金不算入の対象となります。
※負債利子とは、借入金で株式を取得したときの、借入金利子のことをいいます。
短期所有株式等に係る配当等の額
短期所有株式等
次のいぞれも満たす株式等
- 配当等の計算期間の末日以前1ヶ月以内に取得
- 配当等の計算期間の末日後2ヶ月以内に譲渡
控除負債利子額
- 控除負債利子額の計算
法人は、控除負債利子額の計算について、原則法と簡便法の - 原則法
支払負債利子合計額×当期末と前期末の関連法人株式等の帳簿価額の合計額÷当期末と前期末の総資産の帳簿価額の合計額(1)支払負債利子
支払負債利子に含まれるもの 支払負債利子に含まれないもの ①借入金、社債の利子 ①利子税、地方税の延滞金 ②手形割引料 ②売上割引料 ③預り金の利子
(2)関連法人株式等の帳簿価額
税務計算上の金額による。なお、関連法人株式等の帳簿価額は、配当等の有無に関係なく、すべての関連法人株式等が対象となる。
(3)総資産の帳簿価額
総資産の帳簿価額とは、会計上の金額を使用する。ただし、以下の項目については、調整する必要がある。
項目 総資産への影響 借方表示 貸方表示 脚注表示 減価償却累計額 総資産から控除 ー 控除する ー 圧縮記帳積立金(※) 総資産から控除 ー 控除する ー 特別償却準備金(※) 総資産から控除 ー 控除する ー 貸倒引当金 総資産に影響させない 加算する ー 加算する
※「圧縮記帳積立金」「特別償却準備金」に係る「繰延税金負債」も控除する。 - 簡便法
支払負債利子合計額×基準年度における原則法により計算した関連法人株式等に係る控除負債利子の合計額÷基準年度において支払った負債利子の合計額[少数点3位未満切捨]
※端数処理を先に行ってから、支払負債利子の合計額に乗ずる。
※基準年度とは、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した事業年度である。
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